大巻伸嗣《A Continuum: Ladder》作品制作

ご依頼
株式会社大巻伸嗣スタジオ
展示場所
岐阜県・養老天命反転地
展覧会名
養⽼天命反転中!Living Body Museum in Yoro
公開期間
2025年10月25日〜11月3日
プロジェクトメンバー
東弘一郎(鉄工)・関田重太郎(設計)

電球のソケットを取り付けられるように設計した、分解・組立式の鋼鉄製モニュメントです。

作家からは、「メビウスの輪」「雲梯」「∞にも0にも見える形状」というイメージと共に、コンセプト模型を渡されて設計がスタートしました。

全体形状は、幅600mmの帯を1回ひねって環状に接合した「メビウスの輪」をもとにしています。梯子状に溶接した丸パイプで製作することで「雲梯」のイメージに応えることにしました。

20個の電球を取り付けるにあたり、まずは、一筆書きで辿ることができる「メビウスの輪」の輪郭線を全周で20等分し、得られた各頂点を基点に直線と円弧で構成しました。出てきた形を元に作家と話し合い、より有機的で流動的な形態をとの要望を受け、最終的には5種類の円弧で構成することにしました各頂点は、パラメトリックな接合プレートであると同時に、専用のソケットを取り付ける金具も兼ねています。

設計過程では、3Dプリンタでモックアップを作成することで、図面や3Dデータだけでは難しい、より身体的、感覚的な検討を行いました。その検討の中でも、形態を整理し、ねじれをより印象的にする意図で作家からの向かい合う電球を同じ中心軸にしたいという要望が出てきました。これに対し、ねじれの位置にある2平面に直交する平面は必ず作図できるという性質を利用し、各接合部の板の角度を平行に設計することで、これを実現しました。

株式会社あずま工房では、定盤を使用した高精度な溶接が可能です。
平面精度の高い定盤上に据え付けることで機能する専用治具をレーザーカットで設計し、すべてが固有の形状を持つユニットを、設計通りの位置関係で正確に結合しています。